スポーツ釣り竿

軽くて強い、その上震動減衰性に優れているから魚信がつたわりやすい。

釣竿は俗に“ホソ、カル、ピン”が極上といわれています。持ちやすいサイズで軽く、剛性が高く、仕掛けを狙い通りに送りやすい、魚信を捕らえやすく魚を取り込みやすいことが求められる事から「高剛性・軽量化」が強く求められる用途です。特に、日本古来の伝統“鮎竿”は、長尺で重く(竹製では6.2mで1.5㎏、外径約50㎜)、面白いと言われながらも両手で操作必要な大変厄介な釣りでしたが、比弾性率の高い炭素繊維の登場により軽量化を実現し、“カーボンロッド”と呼ばれながら、“へら竿や渓流竿”と共にプレミアム・スポーツ用品の代名詞となるまでになりました。

歴史的には、1972年に東レトレカ®はオリムピック釣具(株)が世界で初めて発表した“世紀鮎”にトレカ®/ガラス織物、樹脂はフェノール樹脂のシートワインディング法により製品化され、従前の“グラスロッド”の約半分相当の7.2mで重さ約600gと言われる軽量化を達成、価格は4倍の50,000円にも拘わらず大変な評判となりました。翌年にはトレカ®単独織物の採用、以後軽量化に向け一方向プリプレグの利用に至り釣竿への本格的な道を開きました。一方異方性を持つ一方向プリプレグによる釣竿は、周方向強度が不足し“つぶれに弱い”という課題がありました。この対策に電材基盤材料であったスクリムクロスと呼ばれるガラスクロスを利用することにより周方向強度が強化され、スクリムクロス利用は、一方向プリプレグの形態保持性も向上させ取り扱い作業性も向上することに成功しました。その後“つぶれ防止”のための周方向補強材は、極めて薄いトレカ®極薄プリプレグ(約30μm)の開発により当時業界が切望の所謂“100%カーボン竿”を実現、現在では約10μmまで生産可能となり、極薄プリプレグは“つぶれ防止”のために非常に重要な技術となっています。このようにトレカ®プリプレグでは、釣竿の軽量化要求に対し、一方向プリプレグ厚みの多様化、高繊維含有率化、樹脂開発などで応え、1997年には300g/10mの長尺品が商品化されるに至り、2004年には外径約26㎜実用9.5mで240gが製品化されています。

炭素繊維を活用して軽量化された竿は、
①軽量化と細径化により片手操作が可能となり取扱いが容易、
②軽くて疲れない、
③竿が長くなり釣り場面積が拡大、
④高感度になり魚信が向上、
⑤魚の取り込みがし易い

などの釣りファンの満足度を年々向上し、限られた人々のスポーツであった“鮎釣り”を大衆化させて新たな客層を引きつけ、鮎釣りにゲーム性を広げることに成功しました。日本古来の伝統“鮎竿”のカーボン(CFRP)化効果は、当然のように海、川、湖沼の全フィールド向け釣竿へ商品展開が計られ、業界発展、活性化に貢献し現在に至り、磯竿やキャスティング竿を中心とした汎用竿には弾性率24あるいは30tf/mm2の高強度タイプが、鮎竿やへら竿、渓流竿には弾性率40から65tf/mm2の高弾性率タイプトレカ®が活用され、それぞれの釣りに最適な竿が設計・上市されています。

このように炭素繊維トレカ®は釣りそのものも変化させる画期的な材料としてその地位を確立し、今もその釣りというスポーツの発展・進歩を支えています。