炭素繊維の歴史

19世紀末にトーマス・エジソンとジョセフ・スワンが木綿や竹を焼いて作った炭素繊維を用いて電球を発明したことをご存知でしょうか?これが、炭素繊維のはじめです。しかし、炭素繊維の存在はタングステンのフィラメントの出現によって忘れ去られてしまいました。

炭素繊維がふたたび注目されたのは、1950年代、耐熱性が要求されるロケット噴射口の材料とし用いられてからです。原料には木綿、ビスコースレーヨンの織物が用いられました。

1957年頃 米・バーネビー・チェニィ社、ナショナル・カーボン社が炭素繊維を試作しています。
1961年 大阪工業技術試験所 進藤昭男博士が炭素繊維を発表。これがPAN系高性能炭素繊維の始まりです。
1967年 英・ロールス・ロイス社がジェットエンジンにCFRPを採用と発表しました。
東レにおいてもアクリル繊維“トレロン”からの炭素繊維の研究をおこなってきました。
1970年頃 米・ユニオン・カーバイド社と炭素繊維の技術交換。
大阪工業技術試験所 進藤博士特許の実施許諾取得。
1971年 PAN系高強度炭素繊維トレカ®糸T300の製造・販売を開始。生産能力12トン/年。当時最大の能力。米国ではユニオン・カーバイド社がThornel300として販売。
1972年 炭素繊維の鮎竿に採用
1973年 ゴルフシャフトに採用
1976年 原油価格の高騰対策として米国で省エネ航空機開発計画がスタート。T300が採用。
1977年 炭素繊維メーカーの業界組織として炭素繊維懇話会を設立。
1978年 米・ユニオン・カーバイド社に炭素繊維製造技術を輸出。
1979年 東京天文台の電波望遠鏡にT300が採用。
1981年 トレカ®糸の累積生産量1,000トン達成。
1982年 T300を部品に用いたボーイング757、767、及びエアバスA310が初飛行。
T300を貨物室扉に用いたスペースシャトル・コロンビア号打ち上げ。
フランスに炭素繊維製造のための合弁事業SOFICAR社を設立

ボーイング757

1985年 累積生産量5,000トン達成
SOFICAR社でT300の生産を開始
1986年 引っ張り強さ7000MPaの炭素繊維トレカ®糸T1000を開発
1988年 累積生産量10,000トン達成。
炭素繊維懇話会が発展し炭素繊維協会に改称。
1990年 ボーイング社の民間旅客機777用に高強度中間弾性率T800Hと高性エポキシ樹脂3900-2を組み合わせたトレカ®プリプレグP2302-19が認定。

ボーイング777

1992年 777用などのプリプレグ製造のため米国に東レ・コンポジット・アメリカ社を設立。
1994年 累積生産量20,000トン達成
トラックの総重量規制緩和に伴い、土木補修・補強用途に採用拡大。